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2010.11.09

ごあいさつ

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Toru Nisihikawa

CEO

西川です。

この度、プリファードインフラストラクチャーで行っている研究開発チームの活動を広く皆様に知っていただこうと、ブログを開設することとなりました。よろしくお願いします。

プリファードインフラストラクチャーでは、Sedueという検索プラットフォームを基軸としてビジネスを行っています。そこでは、検索技術・自然言語技術をはじめとして、様々な先端技術を製品やサービスに組み込み、お客様に提供しております。そして、製品の機能強化や、検索エンジンとともにより優れた技術を一緒にお客様に提供していくために、新しい技術の開拓を目的とした研究開発チームが弊社の重要なチームとして存在しています。

研究開発チームでは、自社による先端技術の研究開発をはじめ、世の中のすぐれた研究の調査や検証も行っております。たとえば、検索精度を向上させるための機械学習技術・自然言語処理技術や、分散システム上で効率のよい分析処理を行うための手法の研究など、コンピュータサイエンスの様々な分野を研究開発しています。

弊社では、そのような過程でうまれた技術や得られた知見を、製品としてだけでなく、技術研究報告や調査結果報告のような形で、広く皆さんに伝えていくことが重要なことだと考えております。弊社は20名弱のまだ小さいベンチャーではありますが、新しい技術を世の中に広めていくために日々切磋琢磨しております。そこで生まれた技術を皆さんと共有するとともに、会社の枠に閉じることなく、技術に興味を持つ皆さんと、そのビジョンも共有できれば、と思っています。

このブログもそのような場所の一つであり、このブログを通じて、技術的な知識の提供だけでなく、研究開発の面白さや重要性といったことを発信していければ、と思っております。

今回は、弊社における研究開発チームの役割・ミッションについて紹介したいと思います。

研究開発チームは、新しい要素技術を継続的に作り出すことが一番重要な役割となっています。アカデミックな場所で議論されているような研究に携わり、新技術開発への知見を得るということ。お客様との対話によって得られたニーズ(まだ実現されていないニーズ)を元に新しい研究分野を作り出すこと。それらを通じて、研究を実用化していきます。

そして、新しく生み出された技術に対して、それらを実際に運用する上で何が課題になるのかを分析・解決策をつくりだしたり、また、製品に組み込めるような安定したモジュールを作り込む、そしてそれを継続的に維持していくための活動も行っています。

そのために、プリファードの研究開発チームは、優れた研究開発を行うだけでなく、研究開発を実用化する視点でソフトウェアの設計・開発を行うことのできるようなチームとして存在しています。11月から研究開発チームはさらなるチーム力強化に向けて新しく生まれ変わり、以上の体制を強化するべく動き始めました。これまで実験的実装を行うことがメインであった研究開発チームなのですが、チームを強化し、実用化・製品化、そして多くの知識を集約するスピードを高める体制をつくっています。

弊社はそろそろ創業してから5年がすぎようとしています。創業当初は学生メンバーだけで起業し、最初は組織自体もまだ未熟であったためにお客様に助けられたことも何回もありました。時にはソフトウェア改善のアドバイスを頂いたり、新しく生み出した技術のファーストカスタマーとなっていただき様々なノウハウを提供していただいたり、多くの皆様に支えていただいて、Sedueという製品・プリファードという会社を成長させることができました。そして、6年目を迎えるにあたり、私たちは、検索ソフトウェアとして確固たる品質・機能をもった製品を提供するとともに、その製品や弊社との取り組みを通じて、お客様に対して継続的に新しい価値を「どこよりも早く」提供していけることを目指していく必要があります。そのために、研究開発チームをはじめとして、会社としての体制を大きく強化していきます。

エンジニアチームの強化では、製品設計・開発・安定化を実現する製品開発チームの強化、お客様との関係を強化し製品の価値・お客様の業務の価値を最大限に高めるためのチームの強化、そして、新しい技術を生み出すスピードの向上を目指す研究開発チームの強化、この3つを強化し、プリファードのビジョンである「最先端の技術をいち早く実用化する」を達成するために日々活動を続けています。

また、プリファードの研究開発チームの新しい試みとして、11月から、「特殊実装部隊」という、ICPC世界大会で優秀な成績をおさめたメンバーがあつまり(プログラミング能力がきわめて高いメンバー)、これまでどうかんがえても実装が無理であろうといった難しい実装を行う部隊が新しく創設されました。研究開発においては、新しい手法を生み出す能力が重要であるとともに、効率のよい実装を素早く行う能力も求められます。特に、複雑なデータ構造や複雑なアルゴリズムは、実装自体もものすごい複雑になります。なおかつメンテナンス性が高い実装も求められます。たとえば、弊社ではSSD向けに最適化されたサフィックスアレイアルゴリズムを製品に組み込み、圧倒的な検索性能を実現しています。その実装は非常に複雑であり、その実装を可能にするためには、単にアルゴリズムを実装する能力だけではなく、プログラミング言語のもつ機能や抽象化手段を最大限に活用し、複雑なアルゴリズムをできるだけ簡潔・バグなく実装することが重要となります。

このような形で、プリファードの研究開発チームは、11月から大きく生まれ変わります。そして、それと同時に、研究開発チームの活動を広く伝えていき、コンピュータサイエンスの面白さや価値・重要性を伝えていきたいと思います。

ITは今では当たり前の存在になり、いままでできなかったことの多くができるようになりました。世界中に動画を無料で配信したり、何兆ページものウェブページを一瞬で検索できるようになったり、できそうなことはだいたいできてしまったようにも思えます。しかし、ちょっと周りをみてみると、まだまだITの世界には実現されていないことがたくさんあり、新しい技術が生み出される驚きがたくさんあります。まだドラえもんは生まれてないし、機械翻訳の精度もまだまだです。バグのないソフトウェアを書くことはまだまだ難しいし、スーパーコンピュータ向けに効率のよいプログラムを書くことは依然として難しいタスクです。そのような未解決な問題はたくさんあり、実用化されていないものもたくさんあります。そのような世界が、コンピュータサイエンスの研究の世界には広がっています。これは、とてもエキサイティングなことだと思います。ソフトウェアをつくることは、この上ない楽しみです。その楽しさを、このブログを通じてぜひ皆さんと共有したいと思います。

ブログでは、研究開発チームがいろいろな情報を発信していきます。そして、発信するだけではなく、ブログ上で技術に対する議論をしたいと思っています。ぜひ、コメントを活用して、「こんな技術をとりあげてほしい!」とか「この研究は私の専門分野だからさらに深い知識を提供したい!」といった、皆様からのフィードバックもお待ちしております!

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