Chainer Meetup #0 を開催しました。

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2015-10-19 13:57:49

2015年10月14日に、Chainer Meetup #0を開催しました。

こんにちは、PFI エンジニアの舛岡です(前回の松元さんに習い自己紹介を後ろに書きました)。製品事業部で、何でも屋として仕事をしています。research ブログに投稿する日が来るとは思ってませんでした。

Meet Upの概要

今回のMeet Upは、「開発陣がコントリビュータの方に会ってみよう」をコンセプトに開催をしました。(開発陣の2名が出張でいないという・・・・)。そのため、コントリビュータの方を招待し、13名の方に参加して頂きました。

まず始めに得居さんから、Chainer 1.5の開発方針について話をし、その後、参加者の皆様に以下の内容でLTをして頂きました。

  • Chainerをどのような場面で使用されているのか?
  • Chainerの良いところ
  • Chainerの改善点・もっとこうしてほしい

LTの総括

Chainerをどのような場面で使用されているのか?
  • RNN/CNNのプロトタイピング
  • 画像認識(研究/ウェブサービス)
  • 自動翻訳
  • 為替市場の時系列データ分析
  • 音声認識

など

Chainerの良いところ
  • 環境構築が簡単
  • 可読性が高い
  • 複雑なネットワークを構築できる
  • 入力データを柔軟に変更できる

など

Chainerの改善点・もっとこうしてほしい
  • Save/load機能
  • もう少し速度がほしい
  • コミュニティの強化:交流会増やして欲しい
  • ベンチマークが欲しい

などなど

発表資料

以下は、発表資料(アップされたのもののみ)です。

@beam2d


@mitmulさん


@jnoryさん



@sinhrksさん

@jnishiさん


@y-tag
https://docs.google.com/presentation/d/1d2VTgaPpdHM2dgSNX7HEL2K-_YgditTa2wuqoejxD5Q/edit?usp=sharing

@odashi

@kikusu

感想

Chainerがどのような場所で使われているか、どういう課題があるかを知ることができました。
今後も継続的にこのようなイベントは行う予定です。
詳細が決まり次第ご連絡します。

 

画風を変換するアルゴリズム

mattya

2015-09-10 18:38:02

Deep Neural Networkを使って画像を好きな画風に変換できるプログラムをChainerで実装し、公開しました。
https://github.com/mattya/chainer-gogh

こんにちは、PFNリサーチャーの松元です。ブログの1行目はbotに持って行かれやすいので、3行目で挨拶してみました。
今回実装したのは”A Neural Algorithm of Artistic Style”(元論文)というアルゴリズムです。生成される画像の美しさと、画像認識のタスクで予め訓練したニューラルネットをそのまま流用できるというお手軽さから、世界中で話題になっています。このアルゴリズムの仕組みなどを説明したいと思います。

概要

2枚の画像を入力します。片方を「コンテンツ画像」、もう片方を「スタイル画像」としましょう。
コンテンツ画像とスタイル画像

このプログラムは、コンテンツ画像に書かれた物体の配置をそのままに、画風をスタイル画像に変換した画像を生成します。

生成された画像

いろいろな例を見てみましょう。コンテンツ画像は先ほどの猫の画像で、左がスタイル画像、右が生成された画像になります。
Screen Shot 2015-09-10 at 2.03.20 PM

Screen Shot 2015-09-10 at 2.03.35 PM

美術作品をスタイル画像とすると、その画風をかなり良く再現してくれます。色合いだけでなく、小さめの空間パターンまで似せて生成されます。ここには載せないですが漫画作品やゲーム画面なども面白い結果を生み出してくれます。

Screen Shot 2015-09-10 at 2.03.29 PM

スタイル画像は絵である必要はありません。美しく生成するのは難しいですが…
他にも寄木細工のような工芸品や、ロマネスコブロッコリーのようなフラクタル系の画像もスタイル画像として優秀でした。

Screen Shot 2015-09-10 at 2.03.24 PM
正直ここまでできるとは思ってなかったのですが、新聞や設計図のような画像でも、そのスタイルを抽出することができました。特に、新聞の文字もどきを塗りに使っているところや、設計図のカクカクした感じが猫の輪郭に当てはまっているのには感動です。

元論文や、こちらのサイトなどにも面白いサンプルが多数掲載されているので、もっと見たい方はご覧になってみてください。また、これらの例は全部上のリンクのchainer-goghで生成できるので、興味のある方はぜひ自分で作ってみてください。

アルゴリズムの解説

モデル

このアルゴリズムはCNN(convolutional neural network)を使って画像を生成します。
このCNNとしては予め物体認識で訓練したニューラルネットを使用し、これ以上の学習は行いません
caffeのmodel zooにILSVRCなどの画像認識ベンチマークで好成績を収めた学習済みモデルが多数公開されており、それを使います。Chainerはこれらのcaffemodelを読み込むことができるのです。

上でお見せした生成例は、VGG 16-layerのCNNモデルを使用しています。これは、次のような構造になっています(後半のFC層などは省略)。

使用したCNNの構造

書かれている数字は[チャネル数*縦*横]を意味します。入力画像はRGBの三色なのでチャネル数が3ですが、層が進むとチャネル数が増えていきます。縦横解像度はこの図は256*256を例にしましたが、変えても動作します。
本アルゴリズムでは中間層である①〜④からの出力を使用します。

CNNの中間層

猫の画像をこのCNNに入力し、中間層の出力を可視化すると次のようになります。
猫画像を入力した時の中間層
①~④は、上のVGGの図と対応します。中間層はもっとチャネル数が多いですが、その中から3つのチャネルの画像を選び出して描いています。
CNNの場合、深い層まで進んでも空間的な位置関係は保たれる(④の場所でもかろうじて猫にみえる)ことは重要です。④で左上の方にある出力は、入力画像でも左上の方の特徴を表しています。これは、CNNが画像のローカルなフィルタ操作を繰り返しかけていることに起因する特徴です。

Deep Neural Networkは層が進むにつれて、タスクにとって重要な特徴量を強調するように情報処理が進んでいくと言われています。
そのことを④の512*32*32のデータのみを使って入力を復元することで、調べてみます。
④からの復元
この絵から分かるのは、まず、CNNを10層以上進んでも、元画像のかなりの情報が残っているということです。一方で、色合いや質感は、元画像から少し変わっています。このことは、もともとこのCNNが物体認識のタスク用で、多少色合いや質感が変わっても物体は同じ物体とみなしてほしいため、その情報を、形などの情報と比較して相対的に弱めているからと考えられます。
本研究のアイデアは、この情報が弱まっている部分を、別の画像の画風に置き換えてやれば、コンテンツ画像の形状を保ったまま別の画風に画像を変換できるのではないか、ということになります。

スタイル行列

画風の情報を表現するために、スタイル行列という概念を導入します。これがこの論文の一番のポイントです。
この行列は、同じ中間層の各チャネル間の相関を計算したものです。入力画像で言えば、チャネルはRGBの各色に対応するので、赤と緑の相関など、つまり「画像全体でどんな色が使われているか」という情報を表すことになります。もう少し層が進めば、「どれくらいの太さの線で書かれているか」といった情報を取り出すことが出来、より深い層で統計すると「どの色とどの色が隣り合って描かれやすいか」「どのようなテクスチャが使われているか」といった情報が反映されると考えられます。

猫画像における、VGGの①〜④の各中間層でスタイル行列を計算したものを可視化すると、以下のようになります。
cat_style
この行列の2行3列目は、チャネル2とチャネル3の相関をとったものになります。
ここに、色合い、筆のタッチなどの画風情報が埋め込まれることになります。

目的関数

中間層④の出力をコンテンツ画像と同じようにしつつ、スタイル行列はスタイル画像と似せてやることで、ゴッホ風猫画像を生成できると考えられます。
すなわち、このアルゴリズムで最小化したい目的関数は、
中間層のコンテンツ画像とのズレ + スタイル行列のスタイル画像とのズレ
という形になります。

前者のコンテンツ画像とのズレは、物体のおおまかな配置や形状が合うようにしたいので、抽象的な情報が抽出されてる深い層で値の差を測ります。ここを浅い層で差をとってしまうと、ピクセル単位の細かいズレに鋭敏になってしまい、大胆な画風の変更が出来なくなってしまいます。

後者のスタイル画像とのズレは、浅い層でも深い層でも差を測ります。細かい筆のタッチのような情報は浅い層で、大きめの空間パターンは深い層で取り出すという狙いです。

画像の更新則

目的関数が定まったので、あとは確率勾配降下法などで最適化を行います。
画像をCNNに通して中間層を求める処理、中間層の相関を計算する処理、コンテンツ画像・スタイル画像とのズレを計算する処理はすべてChainerのFunctionで書かれているので、backward()を呼び出すだけで各パラメタを動かすべき方向を計算できます。

一般のニューラルネットの学習と異なるのは、動かすパラメタがニューラルネットの結合荷重ではなく、入力画像の方だということです。今回のアルゴリズムではニューラルネットは固定されています。
入力画像はまず乱数で作ったノイズ画像からはじめて、backwardで計算した勾配を利用して最適化していきます。chainer-goghでは、ニューラルネットの学習によく用いられるAdamを使って最適化しています。この部分も、ChainerのOptimizer機能を使えば、update()を呼ぶだけでパラメタの更新をやってくれます。
更新されていく猫

画像が生成されていく様子を動画にしてみました。まずスタイル画像の模様を全体に描いて、それを少しずつコンテンツ画像にマッチするように変化させていくという描画方法をするようです。おそらく、スタイル画像とのズレのほうが浅い層から誤差が伝搬してくるので、先に最適化されるのだと考えられます。

結果の分析

さて、本当にこのゴッホ猫が、中間層出力がコンテンツ画像と似つつ、スタイル行列はスタイル画像と似ている、という状態になっているのかを確認してみましょう。

まず、猫画像の中間層出力とスタイル行列を再掲します。
cat_cnn

cat_style

次に、ゴッホ画像です。

gogh_cnn

gogh_style

最後に生成したゴッホ猫です。

goghcat_cnn

goghcat_style

ちょっとわかりづらいですが、中間層④の出力は、ゴッホよりも猫に近いこと、そしてスタイル行列は①〜④まですべてゴッホの方に近いことが確認できます。こうして、形状をコンテンツ画像から、画風をスタイル画像から受け継いだ画像が誕生したわけです。

おわりに

画像の自動生成は、Deep Learning研究者の一つの夢であり、多くの研究者が研究しているテーマです。
現在成功しているアプローチは大きく分けて2つあります。

まず1つ目は、オートエンコーダー(画像を低次元のベクトルに符号化するNNと、符号から画像に戻す復号NNを両方同時に学習する)を使う方法で、訓練データの画像が符号の空間で正規分布のようなきれいな分布をしていれば、逆に符号側を正規分布からサンプルし、それを復号NNで画像化してあげれば、それっぽい画像が生成されるだろうという発想です。VAEやAdversarial networkを使った研究が有名ですが、このアプローチは”もやっと”した画像が生成される事が多く、手書き数字や顔画像の生成はうまくいっているものの、より大きく複雑な画像生成はそれほど成功していません。
Adversarial
Adversarial networkで生成した自動車、動物、船

2つ目のアプローチは画像を反復的に改良していく方針で、物体認識NNが「犬」と判断するような方向に入力画像の方を動かしていけば犬の画像が描けるだろうという発想になります。ちょっと前に流行ったDeep Dreamがこれにあたります。
しかし、あれは”もやっと”はしていなくても、グロテスクな画像を生成してしまう傾向にありました(まだ見たことない人はDeep Dreamで検索してみましょう)。これは、自然な画像とは似ても似つかなくても、物体認識NNを騙せてしまうことに原因が有ります。

今回紹介した研究は2つ目のアプローチですが、Deep Learningを使って”もやっと”もグロくもない画像を生成することができます。もちろんコンテンツ画像とスタイル画像を入力に必要としているので全自動ではないのですが、コンテンツ画像は深い層の出力のみ、スタイル画像はスタイル行列のみしか情報を使っていないので、画像の完全自動生成に一歩近づいたと言えるのではないでしょうか。今後の発展に要注目です。

巨人たちが語るディープラーニングの未来(翻訳記事)

hido
Chief Research Officer

2015-08-12 11:37:56

比戸です。スムージーの美味しい季節ですね。

今回は「ディープラーニングの未来」というパネルディスカッションに関するブログの翻訳をお送りします。この業界の有名人が多数参加していて、とても興味深い内容だったため、日本のコミュニティでも共有できたらと思ったのです。

それは2015年7月に開かれた機械学習の国際会議・ICML内のDeep Learning Workshopの企画でした。元記事はワークショップ主催者のKyunghyun Cho氏のBrief Summary of the Panel Discussion at DL Workshop @ICML 2015です。ご本人の許可を得られたので、以下に日本語訳を掲載します。なるべく原文に忠実に訳したつもりですが、分かりづらい部分は意訳が入っているため、もし誤りがあればご指摘下さい。

— ここから翻訳

<はじめに>

ICML 2015で開かれたワークショップのフィナーレは、ディープラーニングの未来についてのパネルディスカッションだった。数週間に及ぶワークショップ主催者間のメール往復と議論の末、我々は以下の6人のパネリストを招いた。

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Deep Learningと音声認識

preferred

2015-07-16 13:00:10

西鳥羽です。こんにちは。

本日セミナーで「Deep Learningと音声認識」という内容で(ustreamで公開されているけども)社内セミナーで紹介させて頂きました。タイトルは前回の「Deep Learningと自然言語処理」に被せてます。

Broadcast live streaming video on Ustream

こちらがその資料になります。尚、セミナーでは「話し言葉コーパス」とすべきところを「書き言葉コーパス」としてしまっていました。資料では訂正してあります。

また、個々の参照は以下の通りです。

CTC関数に関しては以下が詳しいです。Chainerで実装してますがちゃんと動くようになったら公開したいですね。

分散深層強化学習でロボット制御

mattya

2015-06-10 16:50:33

新入社員の松元です。はじめまして。

“分散深層強化学習”の技術デモを作成し、公開いたしました。ロボットカーが0から動作を学習していきます!
まずはこの動画を御覧ください。

以下で、動画の見どころと、使っている技術を紹介します。

動画の見どころ

Screen Shot 2015-06-10 at 1.09.41 PM
Car 0(○の付いている車)が右折カーブの手前で減速する様子(右画面の白いバーのところが、ブレーキのところで赤くなっている。ニューラルネットはブレーキが最も多く報酬が得られると推測していることがわかる)。速い速度ほど報酬は大きいが、カーブを曲がりきれず壁にぶつかってしまうので学習が進むとカーブ手前でのみ減速するようになる。

Screen Shot 2015-06-10 at 1.18.49 PM
目の前に車がいるときは一時停止して、いなくなってから加速する。
エチオピアには本当にこのような交差点があるらしい。

Screen Shot 2015-06-10 at 1.22.24 PM
ぎりぎりですれ違う2台。学習途中ではすれ違いきれずにぶつかって倒れてしまうこともある(早送りシーン中に人が写っているのは、倒れたり詰んだりするたびに起こしていたためです)。

この動画で使われている技術について少し解説をしたいと思います。

強化学習

このデモにおけるロボットは、強化学習という手法で学習しました。
よくあるロボットの制御では、ある状況でどの行動をとるべきかのルールを人間が作り、そのルールに従って制御を行ったり、ロボットの取るべき軌道を予め人間が設計しておいて、その目標とのズレが最小になるように制御を行います。しかし、あらゆるシチュエーションに対してとるべき行動を設計するのはとても大変です。それに、臨機応変に軌道を変更することができません。
そこで、強化学習では、目標とするロボットの最適な動きを正解として与える代わりに、ロボットの各行動に対して報酬を与えます。今回の課題では、道にそって速い速度で進んだときにプラスの報酬を、壁や他の車にぶつかったり、道を逆走したときにマイナスの報酬(罰)を与えています。
ロボットはどのように行動するとどれくらいの報酬が得られそうかを学習していき、最も多くの報酬が得られそうな行動を選択することで、結果的に最適な行動をとることができるという仕組みです。これによって、「障害物が何mの位置に来たら、ハンドルを何度に回す」みたいなルールを人間が設計しなくても、自然とそのような行動を獲得してくれるわけです。

センサー

ロボットはセンサーを使って自分の今の状態を認識します。
Screen Shot 2015-06-10 at 10.45.28 AM
このデモでは、車は周囲32方向に仮想的なセンサビームを飛ばしていて、壁、他車、道路の中心線までの距離と角度を取得しています(図のcar 0が出している黄色い線がビームを表している。正確には遠距離センサ16本と近距離センサ16本に分かれている)。現実の自動運転車に搭載されているレーザー距離センサーをイメージしています。
そのセンサ情報に現在速度とハンドル位置、直近3ステップの自車の行動を加えて、合わせて273個の数を入力として受け取ります。右上のグラフにそれが可視化されていますが、車はこの情報だけから、今どの行動(アクセル、ブレーキ、左右ハンドル、バック)を取るべきかを決定しなければなりません。このような多様かつ多数のセンサ情報をうまく統合して適切な判断を行う問題はセンサフュージョンと呼ばれていて、これからのスマートデバイスや機械制御などに必須となる技術と考えられています。

ちなみに、学習開始時点では、ロボットはどのセンサ入力が何の入力を表しているのか、どの行動がどういう結果をもたらすのかを全く分かっていない状態から始まります。人間は「壁との距離」とか「アクセル」とか言われればその意味を理解できますが、ロボットは、まずはそこから学んでいかないといけないというハードな問題設定です。

Q-learning

強化学習には様々なアルゴリズムがありますが、今回はQ-learning + ε-greedyというベーシックな手法を使いました。
Q-learningでは、ある状態sである行動aをとったときに、将来にわたってどのくらいの報酬が得られそうかを表す関数Q(s, a)を学習します。
もし、Qが完全にわかっていたなら、状態sで取るべき行動は次のようにして決定できます。
行動の候補a1, a2, …があったとして、Q(s, a1), Q(s, a2), …を求め、最もQが大きくなったaを選ぶ。
Q関数は将来に渡る報酬の期待値をあらわすので、その行動が最も多くの報酬を生むことになります。

しかし、学習の開始時点では、Q関数は全くわかっていません。そのような状況では、Qが最大になるaを選んだとしても、それが最適な行動である保証は全くありません。Q関数を学習するためには、いろいろなシチュエーションを体験して、ある行動がどのくらいの報酬に結びつくのかを学ぶ必要があります。そのために、最初はランダムに動いて経験を貯めます。ある程度学習が進むと、(学習中の)Q関数が最大になるような行動が、そこそこ良い行動を表すようになっていきます。
そこで、ある割合εでランダムな行動を、1-εでQが最大になるような行動を選択します。これをε-greedy法といいます。「基本的には現在把握している最善の行動をとって、ときどき違うことも試してみる」というイメージです。

Deep Reinforcement Learning

Q-learningは古くから使われている手法ですが、昔は小さいサイズの問題にしか適用できていませんでした。例えばロボットが直面する状態が100通りしかなくて、行動も5通りしかないとしたら、Q関数は、100*5の表を埋めていくことで学習できます。Q(s, a)は表のs行a列目になるわけです。
ここで、状態1番のときに行動3番をとったら、10点の報酬がもらえて、状態が20番に移ったとしましょう。このとき、Q(1, 3) (状態1で行動3をとったときに将来得られそうな報酬の期待値)は、10 + max{ Q(20, a) }と考えることができます。10は今得られた報酬で、max{ Q(20, a) }は次の状態20のときに、現在わかっている最善の行動をとったときに得られる将来の報酬期待値になります。そこで、Q関数をあらわす表の1行3列目の値を10 + max{ Q(20, a) }に近づけます。この操作を繰り返すことで、この表は次第に正しいQ(s, a)に近づいていきます。

さて、今回のロボットは273成分の入力を受け取ります。これがロボットの認識する状態になるわけですが、各センサの値が0か1だとしても、2^273 ~ 10の82乗もの状態数になります。Q関数を表で表すならこれだけの数の行数が必要になりますが、とても不可能です。

そこで、表を使う代わりに、状態sを与えたら各aに対するQ(s, a)を出力するようなニューラルネットワークを使います。近年のDeep Learning(深層学習)技術の発展により、画像データのような数万成分の入力から、数千成分の出力を出すような巨大なニューラルネットが学習可能になりました。強化学習分野にDeep Learningを適用して有名になったのが、DeepMind社の発表したAtariのゲームをプレイする”DQN”(Deep Q-Network)です。
参考:昨夏のインターンでDQNの再現と改良に取り組んだ。
http://www.ustream.tv/recorded/53153399

今回の問題では273成分から5成分への7層(273-600-400-200-100-50-5)のニューラルネットを用いました。図の左下の白と赤のバーが、ニューラルネットの出力したQ(s, a)になります。

Screen Shot 2015-06-10 at 12.57.37 PM

学習には、もちろん、昨日発表したあの、Chainerが使われています!!!Chainerサイコー!!

ニューラルネットが入力をどのように変換していくのかを解析することは容易でないですが、出現しない状態を見ないようにしたり、よく似た状態をひとまとめにするなどして効率的に情報処理を行っていると考えられます。この性質により、見たことがない状態に直面しても、そこそこ適切な答えを返すことが出来るという力(汎化能力)を持ちます。
動画中で突然現れた障害物にも対応できているのは、この能力のおかげと言えます。
Screen Shot 2015-06-10 at 1.29.09 PM
四角い小さな障害物がランダムに存在していた環境で学習したら、丸い大きな障害物が突然現れる環境にも汎化して適応することが出来る。

Deep Learning のフレームワーク Chainer を公開しました

beam2d
リサーチャー

2015-06-09 15:09:35

こんにちは、得居です。最近は毎晩イカになって戦場を駆けまわっています。

本日、Deep Learning の新しいフレームワークである Chainer を公開しました。

Chainer 公式サイト
GitHub – pfnet/chainer
Chainer Documentation

Chainer は、ニューラルネットを誤差逆伝播法で学習するためのフレームワークです。以下のような特徴を持っています。

  • Python のライブラリとして提供(要 Python 2.7+)
  • あらゆるニューラルネットの構造に柔軟に対応
  • 動的な計算グラフ構築による直感的なコード
  • GPU をサポートし、複数 GPU をつかった学習も直感的に記述可能

ニューラルネットをどのように書けるか

次のコードは多層パーセプトロンの勾配を計算する例です。

from chainer import FunctionSet, Variable
import chainer.functions as F

# 多層パーセプトロンの定義
model = FunctionSet(l1=F.Linear( 784, 1000),
                    l2=F.Linear(1000, 1000),
                    l3=F.Linear(1000, 10))
def forward(x_data, y_data):
    x, t = Variable(x_data), Variable(y_data)
    h1 = F.relu(model.l1(x))
    h2 = F.relu(model.l2(h1))
    y  = model.l3(h2)
    return F.softmax_cross_entropy(y, t)

# 勾配計算
x_data, y_data = ...            # ミニバッチを初期化
loss = forward(x_data, y_data)  # 順伝播
loss.backward()                 # 逆伝播

ここで x_datay_data はともに NumPy または PyCUDA の配列です。順伝播の処理をそのまま書けば、あとは最終的な結果に対して backward 関数を実行することで、それまでに行った処理と逆順で誤差逆伝播が実行されます。この例はもっとも単純な例なので現れませんでしたが、順伝播の処理には分岐やループなど Python の制御構造を自由に含めることができます。

なぜ今新しいフレームワーク?

Deep Learning のフレームワークとしては Caffe, Theano/Pylearn2, Torch7 の 3 つが人気です。これらはフィードフォワードなネットワークを書くことが基本的な目標として開発されています。ですが、最近では Deep Learning の進展に伴い、より複雑なネットワークを柔軟に書けることの必要性が高まっています。そこで、この中でも特に自由度が高い Theano をベースに、新しいフレームワークがたくさん模索されています(例:Blocks, Keras, Lasagne, deepy など)。

これらのフレームワークを含め、既存の実装のほとんどは、一度ニューラルネット全体の構造をメモリ上に展開して、その処理を順に見てその通りに順伝播・逆伝播を実行するというアプローチを取っています。これは、独自のミニ言語に対するインタープリタを実装しているようなものです。例えば Caffe ならば Protocol Buffer で定義されたスキーマがミニ言語に対応します。Torch7 の場合には、コンテナと呼ばれる特殊なモジュールが制御構造の役割を果たします。Theano はより柔軟な定義が可能ですが、ループを書くために scan と呼ばれる特殊な機能を使います。このアプローチにおいて、より複雑な計算フローをサポートしようと思ったら、基本的にはこのミニ言語を拡充していく必要があり、学習コストや記述コストは高くなっていきます。基本的には今後、ニューラルネットの構造はさらに複雑化していくことを考えると、この展開は好ましくありません。

Chainer はこれとは異なるアプローチを取ります。Python をベースとしていますが、Theano は使いません。制御構造はすべて Python のものがそのままつかえます。Chainer は、実際に Python のコードを用いて入力配列に何の処理が適用されたかだけを記憶しておき、それを誤差逆伝播の実行に使います。このアプローチは、複雑化していく Deep Learning の研究・開発速度を保つために必要だと考えており、私たちが新しいフレームワークの開発に乗り出した理由です。

使い方

ドキュメントも同時に公開しました。チュートリアルとリファレンスを提供しています。チュートリアルでは、基本的な多層パーセプトロンの書き方から、リカレントネットの書き方、GPGPU の利用法などを紹介しています。今のところドキュメントはすべて英語のみとなっていますが、要望が大きければ日本語への翻訳も検討します。

また、公式リポジトリ内の examples ディレクトリの中にサンプルがいくつか入っています。こちらは、実際にデータの読み込みから学習までを Chainer で書く方法を知るのに適しています。

質問やバグ報告

Chainer はまだ公開されたばかりのフレームワークで、機能面ではまだまだ足りない部分もあります。PFI/PFN の Chainer 開発チームでは、これから継続的に開発を行い、定期的に新しいバージョンをリリースしていく予定です。プルリクエストも受け付けます(今のところ Contribution Guide のような文書はありませんが、今後用意する予定です)。

使用法やバグについての報告も随時受け付けます。使用法の質問については、Google Groupsを開設しましたので、こちらに投稿してください。また、バグの報告や修正については、GitHub の Issue やプルリクエストを登録していただければと思います。GitHub のアカウントをお持ちでない場合は、Google Groups へ投稿していただいても構いませんし、Twitter アカウント (@ChainerOfficial)にメンションを送って頂いても対応可能です。

オンライン機械学習(機械学習プロフェッショナルシリーズ第1期)発売のお知らせ

preferred

2015-04-06 19:01:44

お久しぶりです。徳永です。

講談社からオンライン機械学習というタイトルの本が出版されます。著者はPreferred Infrastructure/Preferred Networksの海野, 岡野原, 得居, 徳永の4人です。

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NIPS2014読み会を開催しました

大野 健太
エンジニア

2015-01-23 19:33:15

大野です。
先日2015年1月20日に、NIPS2014読み会を開催しました。

当日に関する情報はこちらをご覧ください:connpass, togetter
当日の発表タイトルとインターネット上で入手可能な資料は記事の最後に掲載します(connpassからも入手可能です)。

昨年と同時期、同場所での開催にも関わらず、前回の1.5倍以上の方に参加いただきました。また、正確な統計はありませんが、機械学習に限らず様々なバックグラウンド方がいらっしゃったようです。ビジネス系メディアで特集で組まれるなど、機械学習・人工知能への注目度が高まっておりますが、それと並行して機械学習を専門に研究されている方や、最先端の機械学習研究に関心を持つ方の層が広がっているのではないかと思います。このような勉強会で交流が増えて分野の発展につながれば、今回の勉強会を開催したかいがあったと考えています。

改めまして、発表者の皆様、参加者の皆様、そして会場をご提供いただいた東京大学の武田先生・中川先生にお礼を申し上げます。

会議に関する所感

会議全体を見ると、最適化の理論解析もあれば特定の業界への実応用もあり、また特定のトピックについて基礎から応用まで垂直に扱われているワークショップがいくつも開催されました。参加人数からみても、KDDなど他の機械学習・データマイニング系の研究集会と同様に、NIPSもここ数年の規模の拡大が顕著なようです。
個別のトピックで言えば、Deep Learning/Deep Neural Networkが依然として関心を集めているようです。DLを主題としたワークショップが少なくとも2件あり、主題ではなくても、DLに関連と予想される発表が多くのワークショップで散見します。今回の読み会でも7件中2件(山本さん、得居さん)がDL関連でした。
大岩さんに発表していただきましたが、今回のNIPSではのレビュープロセスについての実験的な企画が行われました。同じ投稿論文を独立した2グループ両方に査読してもらいその相関を調べたもので、1つ目のグループでAcceptされた論文のうち57%が2つ目のグループではRejectされたという結果が話題になりました。例えば「NIPS review experiment」などで検索すると、より詳細にこれらを論じた記事がいくつも見つかり、レビュープロセスに関しては多くの方が問題意識や関心を持っているのだと感じました。

読み会発表タイトル一覧

  • 山本浩司さん , Learning Generative Models with Visual Attention : Proceeding arXiv
  • 大岩秀和さん,  Partition-wise Linear Models : Proceeding arXiv
  • 楠本充さん,  Advances in Learning Bayesian Networks of Bounded Treewidth : Proceeding arXiv
  • Quasi_quant2010さん,  Analysis of Learning from Positive and Unlabeled Data : Proceeding
  • 得居誠也さん , Semi-supervised Learning with Deep Generative Models : Proceeding arXiv
  • 加藤公一さん , A Safe Screening Rule for Sparse Logistic Regression : Proceeding arXiv
  • 関喜史さん , Content-based recommendations with Poisson factorization Proceeding

 

発表資料

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Deep Learningと自然言語処理

preferred

2014-12-26 11:22:09

クリスマスイブの夜は男三人しかいないオフィスで関数型言語の素晴らしさについて語っていた西鳥羽です。こんにちは。

昨日のPFIセミナーで「Deep Learningと自然言語処理」というタイトルで発表させていただきました。以下がその時の資料です。


この辺りに興味を持たれた方は今度の1月20日に「NIPS 2014 読み会」http://connpass.com/event/10568/ もどうぞ。残り枠数少ないので申し込みはお早めに。

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PyData Tokyo Meetup #1でCaffeとmafについて発表しました

大野 健太
エンジニア

2014-11-07 12:04:37

10月30日のPyData Tokyo MeetUp #1にて「Caffeとmafを用いたディープラーニング開発・実験方法」というタイトルで発表を行いました。

当日の発表に関する情報はconnpassにまとめられています(私以外の発表の資料へのリンクや当日のUstreamでの配信へのリンクもあります)。また、当日までのtwitterの反応はtogetterにもまとめられています。

 

発表資料はSlideShareで公開しています(当日きちんと答えられなかった質問の回答を資料の最後に追記しました)。

Development and Experiment of Deep Learning with Caffe and maf from Kenta Oono

 

今回はディープラーニングライブラリの中でも特に開発が活発に行われているCaffeと、PFI/PFNで開発している実験ビルドツールのmafをそれぞれ紹介しました。発起人の柴田さんから、Caffeを用いて自分で何か作れるようになるとうれしい人が集まっていると事前に聞いておりましたので、デモを通じてmafとCaffeを用いて実験を行う具体的な方法の紹介を意識したつもりです。

勉強会主催の方々が標榜しているようにとても濃い勉強会でした。勉強会の立ち上げ会での発表で恐れ多かったですが、多くの方に興味を持っていただきました。発表の機会をくださった発起人の皆様、発表を聞いてくださった方々に改めてお礼を申し上げます。今後も微力ながら活動を応援をさせていただければと考えております。